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甲斐犬:甲斐犬の性格と行動


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オスの甲斐犬(非去勢)を飼っていますが、甲斐犬っておとなしいし、表情豊かでとてもかわいい。まず言っておくと、甲斐犬は主人にしかなつかないコワくてとっつきにくい犬という話は全くの嘘だ。
甲斐犬ってどんな性格の犬だろうかと検索かけてみると、犬種図鑑サイトでは判を押した様に一代一主で他になつかないとか、甲斐犬が如何に怖いかというエピソードを並べたページがあったり、質問サイトをみてみれば甲斐犬は飼い主にしかなつかないし、他の人の言うことも聞きません等と返答をしているのを見かける。おかしなことに甲斐犬の繁殖をしている方々や妙な飼い主グループのサイトで甲斐犬の性格についてそう書かれているものを見かけるが、こういったものをみてしまうと、甲斐犬を飼いたいと考えても腰が引けるのは仕方がないのかもしれません。
実際、散歩中にも、甲斐犬を飼おうと思ったが、甲斐犬は主人以外になつかないとかいうのであきらめましたという方にけっこうお会いするが、こういった誤った情報に惑わされない様にと願います。
犬を飼うなら甲斐犬だと誰彼おすすめするものでもありませんが、多少なりとも甲斐犬に対するイメージが変化してゆくことを期待して、これまで私が甲斐犬に接してみてわかってきたこと感じたことをあげてみることとします。

甲斐犬は幾ら触ってもなで回しても怒らない。見ないで触っていても怒らないし、嫌がりもしない。ほーんとそばにいてラクチンな犬、「どうぞいつまでも撫でててください、撫でられるの大好きです。」とされるがままでいる。
甲斐犬の前に柴犬も飼っていたことがあり、同じ様に接して同じ様に可愛がっていたのだが、柴犬の場合は少し長くなでたりすると「いい加減にして、かみますよ」といわんばかりに低く喉をならして唸ったりしたのだが、甲斐犬の場合はそういうことが全くなく、うっかり寝てるところをつまづいて蹴飛ばしてしまっても怒らない。柴犬だったら軽くスネをヒトカミされている様な場面でも甲斐犬は大丈夫。柴犬には何度も噛まれたことのある家族も甲斐犬では全く問題なく接している。
これが人はもちろん他の犬に対しても同様で、好きな犬、知っている犬であれば犬のサイズや年齢を問わず後から乗っかられようが、横から乗っかられようが、両足で頭を掴まれようが、トントンと突っ込まれようが、ワンワンワンワンうるさく吠えられようが怒らない。会ったばかりの犬でも大丈夫。
甲斐犬の毛はやわらかくツヤツヤ。甲斐犬の毛質は柴犬と比べて柔らかく、人の髪の毛に近いのでなでてて非常に手触りがよい。柴犬の毛のふかふか感もあれはあれでいいのだが、甲斐犬は柴犬の毛色違いくらいに考えていたので、初めて甲斐犬を触ったときにはこんなに違うのかと驚いた。
くわえて、毎日ブラシをかけているわけでもないのにぱっとみてわかるほどに艶がよく、家の甲斐犬は足に虎柄が少しあるくらいであとはほぼ真っ黒なこともあって、女性からは「カラスの濡れ羽色っていうけど、黒くてきれいねー」とか言ってくれる。
また雨に濡れてもタオルドライで十分なところまで乾く、毛がかなり油分を含んでいるようで、かなり土砂降りの中を歩いてきても芯までびっしょりということがなく、雨上がりの公園の砂利まじりのところでゴロゴロと転げまわるなど取っ組み合いの遊びをしても、ぷるぷるっと体をふれば泥汚れが落ちてしまい汚れがつかない。
甲斐犬はやたらと仰向けにひっくり返って寝る。丸まって寝てることも多いが、はっと気がつくと仰向けにひっくり返って後ろ足をおおきく左右に開いて寝てたりする。で、頭が重いのか柱に頭をもたれかけたり、人の手のひらに頭をのせてきたり、よくそばにきて腕枕で寝たりする。また、その状態から頭をどかしたり、逆に寝てるところを頭を手で掴んでもちあげたりしても怒らない、されるがまま。
甲斐犬はオネエ座りをするなぜだか知らないが甲斐犬はよくオネエ座りをする。ぴしっと声をかけて座らせた時はきちんと座るが、ちょっと気を抜いた時には後ろ足をちょっと流して座る。家の甲斐犬だけかと思ったら、甲斐犬を飼ってらっしゃるどなたかのブログでもそのように書いてあった。
甲斐犬は飼い主だけにしかなつかないは全くの嘘だな。多くの犬がそうである様に順番はつけるが、主人以外はダメなんてことはない。では家族以外の人に対してはどうかというと、おいでと言われてほいほいついていってしまうということはないが、オヤツを貰う時等にオスワリやオテなどはきちんとするし、散歩中に声をかけてくれる人がなでてもさわっても大丈夫、少しなれると体重をのせてしなだれかかってすりすりのあげくでんぐりがえしというありさまだ。
散歩途中であうおじいさんに至っては、オヤツを貰ったわけでもないのに見つければ駆け寄って抱きつき、いなければおじいいさんの家の玄関前で鼻を鳴らして座ってでてきてくれるのを待ったりもする。とてもかわいがってくれるが、なにがそこまで好きなのかわからない。
飼い主だけにしかなつかないというのは実は柴犬のほうがその傾向は強い様に思う。
甲斐犬は来客にも大人しい玄関等の正規ルートを経て家族が招き入れた人物に対しては尻尾を振って基本的に大歓迎の様子をみせる。またよく知った近所のおばあちゃんが勝手口から入ってきた際にはワンと一声大きく吠えることもあるが家族に知らせるという意味合いが強く威嚇する様子はない。来客については、その人が犬好きかどうかにかかわらず滞在中はとても大人しくしており、気に入った来客がいれば座ったその背にぴたりと体を寄せてじっとしていたりとお客さんの反応はすこぶる良い。
前に飼っていた柴犬は来客が犬がダメな人だとわかると、滞在中はずーっと吠えていたが、甲斐犬はそういったところが全くない。
甲斐犬は他の犬との挨拶大好き。散歩途中で前から知らない犬が歩いてきたりすると、すっと道の端に伏せて体を低くして挨拶にきてくれるのをじっと待っている。どんな小さな犬であっても、緊張しながらもじっと相手のチェックがひととおり終わるのを待ち、一息ついたところですっと立ち上がるという感じ。相手が小さい犬で少し怖がっている様子を見てとれば、即座に腹を見せて寝転んでみせたりもする。
挨拶が出来る犬であればこんな感じだが、これが無視されて通過されると怒って吠えることがある。無視されるのは何より嫌いなようだ。通過される時もじっと伏せてはいるのだが、しっぽのラインを超えるとぱっと立ち上がって反転し「無視してくのかぁー」とでもいいたげに吠える。
どうも見ていると、相手の犬が怖がっていたり、「ちょっと今はごめんね」と行ってしまう場合と、「何だお前は」っていいながら行ってしまう場合とでは、犬にはわかる明確な違いがあるようで、相手の犬が怖がっている場合や犬は遊びたがってるけど飼い主が強制的に連れてってしまう等の場合は吠えることもなく、がっかりした様子で犬が行ってしまうのを静かに見送っている。
非虚勢の犬同士でもケンカしない家の甲斐犬は虚勢はしていない。まわりには同様に非虚勢の犬もけっこういるのだが、うまく挨拶できた犬については全然問題ない。紀州犬、オーストラリアンケルピー、柴犬など虚勢はしていない犬が結構いるのだが、散歩途中で会えばお互いニオイを嗅がせたり、なめさせたり、ひもを緩めてあってもケンカすることなく飼い主同士で普通に会話できる。たまに鼻先をひくつかせて喉を鳴らしてみたり、軽く吠えついたりすることもあるが、収集つかなくなる様なことはない。
去勢しないと他の犬とケンカしてしょうがないとか、あれは嘘。吠えつくという行動を犬が去勢していないことを理由に挙げる人がいるが、それは誤りです。非虚勢の犬が他の非虚勢の犬に対抗心を持って接することは多かれ少なかれあることだが、うまく挨拶できる犬の場合はお互いにうまく擦り合わせをすることが可能で、しばらく吠えててもやがて納めて、お互いの臭いを嗅いだり嗅がせたりしておとなしくなる。ただ人混みの中であったりして犬同士の擦り合わせの時間をとってあげられず距離を離さざるをえない残念なケースもままある。
唯一ダメなケースはこちらが小さい頃に訳もなく吠えてきた犬や、こちらが小さい子犬の頃に挨拶しようにも挨拶させなかった飼い主の犬。そういう犬に対しては小犬の頃に我慢していたのか大きくなってからはどこで会っても吠える。あとはシーズン中の雌犬を間において、他の雄犬と対峙してしまったとき、普段問題なく接している犬であっても、シーズン中の雌犬挟んだときはどうしてもライバル心だして吠える。
甲斐犬はじっと待つ。主人が仕事をしているときは邪魔をせずにそばにきてじっとしている。デスクワークだろうが庭仕事だろうが趣味のクルマいじりだろうが、邪魔することなくそばでじっと伏せたり、丸まったりして待っており、移動すれば後をついてくる。主人が2階で仕事をしていれば、昼間等庭も自由に駆け回れるようになっているのだが、その直下の1階の部屋で大人しくしている。
また、散歩についてもいつもの時間を過ぎても催促することはなく、大人しくしていられる。
甲斐犬は散歩が大好き。運動量も非常に多く平気で2、3時間歩くし、よく走る。普段の散歩でも片道3キロ走って、湘南平を登って下りて、また3キロ走って帰ってきたりというコースなので、時間が許せば幾らでも歩いていってしまうので体力は相当なものだろうと思う。山歩き大好き、獣道サイコーの様子で、山に連れて行くと非常に喜び、飼い主の前をリードを張ったままどんどんかけていったりもするが、飼い主が足場の悪さに躊躇する様なところでは、それをさっしてかペースを落としたり、足を止めて飼い主の歩みを待ったりと気づかう様子もみせる。山歩きはもちろん、山道を走るトレイルランニングのお供なんかには最高の犬だろうと思う。
甲斐犬は壁によじ登る、木にも登る甲斐犬は運動能力は非常に高く、お城の壁の様なほぼ垂直の石垣等でも高さ3mくらいは平気で駆け上がる。足掛かりのない壁でもけっこうな高さまで垂直跳びの様にジャンプして体半分かかれば小学生の様によじ登ってしまい、塀の上の様なところをトコトコと歩いていってしまうが、そのわりに脚を踏み外したりもする。踏み外しておっとなるのだが、体勢のリカバリーがはやく転落してしまうようなことはない。また、足掛かりがある様なところなら木にも登る。
また、向こうが見えない堤防のようなとこでも、うっかりしてるとぴょーんととび登ってしまう、おまけにその高いところから平気でジャンプかまして飛び降りてくるので、散歩中は特に気をつけている。反面、なぜだかロープの様ものが張ってある様なところでは下をくぐれるものはくぐる。
甲斐犬は花火や雷の音も大丈夫花火大会や雷の夜の後には犬が逃げてしまったとよく聞くが、甲斐犬は打ち上げ花火のドーンという音を聞いてもぴくりともしない。花火大会の会場の打ち上げ直近であってもなんともない。雷のゴロゴロや近くに落ちた際の音も大丈夫。猟はしないが猟場近くで散弾銃の音を聞いても全くうろたえることがない。
耳が悪いのかと思ったが、走行するクルマの音がうるさい半地下の車道脇の歩道等で小声で呼んだりした際にはしっかり反応してくれる。
甲斐犬は目の白いところをみせる柴犬と一番違うという印象を持ったのはこの点、横目をつかうところ。柴犬は常に正面でものをみるようなところがあり、目の白いところをみせたことは一度もなかったように記憶しているが、甲斐犬は前を向きながら、目だけをくいっと動かして様子を見たりするので、ときおり目の白いところがでる。甲斐犬が白目をみせたところはそれはそれはかわいい。
甲斐犬は夏の暑さは苦手だが寒さに強い。甲斐犬は夏の暑さは苦手、生死に関わるほど暑さに弱いという様子はこれまでみていないが、毛色のためか夏日の様な日射しに長く当たると触ってわかるほど体表面が熱くなる。熱くなるとひんやりとした所を見つけてはそこでしばらく休む。冷気が吹き出すデパートの自動ドアの前だったり、他所様の玄関前のタイルの上だったりと、所構わず横になって脚を投げ出してクールダウンを始めてしまうこともある。夏の時期は6時には朝の日射しが強く感じるので朝4時半起きで散歩に連れて行くが、暑いのは苦手といいつつ走って、登ってと元気、途中しばらく息を整えたら、また走って帰ってくる。
反対に寒さにはとても強い、雪なんか積もった日には大喜び。体が埋まる程積もった雪をかきわけてどんどん走って行くので、雪の日の散歩用に飼い主の靴につけるアイゼンを買った。
甲斐犬はウンチが多いやたらする。朝1、2時間の散歩でたいてい3回、夜の1、2時間の散歩でまた2、3回と朝晩それぞれ回数が進むにつれ量は減っていくが、する。何を食べた日だったか最高計8回ウンチしたことがあった。またなぜだか、街路樹の支えにしてあるような丸太などになぶりつけるようにウンチをすることがある。
食事は市販のドライのドックフードに鶏のササミや野菜、ジャーキー系のオヤツなどだが、ウンチの量が多く、コンビニ袋にいれてプランプラン持ち歩いていられる量じゃないので、コンビニ袋にとったものをさらにジップロックなどのジッパー付きの密閉できる袋に入れバックに入れて歩く。散歩から帰ってくるとウンチでバックが重い。こんなのが毎日でるわけで、うちではコンポスト処理して堆肥化している。
甲斐犬はクルマ大好き甲斐犬はクルマでドライブがものすごく好きなようだ。気持ち悪くなって吐いたのは最初の一度だけで、それ以降は気持ち悪くなる様なことも全然なく、1、2時間のドライブでも大人しく乗っていられる。
甲斐犬は天気を読む。基本的に雨は嫌いな様で雨降りはものすごい確率で当てる。雨が降りそうだったりすると縁側の下に潜ってしまって散歩に行かない。小雨程度では出かけるが、途中雨がひどくなると雨宿りをし、雨宿りをしたらしたで雨が上がりそうなのもきっちり当ててくる。
甲斐犬はテーブルの食事には一切手をつけないとくにしつけた訳でもないのに、テーブルに並べられた食事には一切手を付けたことがない。家族の皿に盛られた料理はもちろん、犬のオヤツにと専用皿にとりわけたものを床においてあっても、良しといわれるまで口を付けることはないのでテーブルのそばに犬だけでほおっておいても全く問題がない。
そもそもテーブルに足をつけることもなく、テーブルまわりのマナーとしては全く問題はないのだが、ただ、おねだりがものすごい、食事をしている手や膝や腕にアゴを乗せて、ただただ上目遣いでじーっと待っている。これをやられるとちょっと弱い。
甲斐犬は自分で考え行動するまだ3ヶ月過ぎくらいの頃、障子は穴あけるは、サンダルはくわえてどこか持って行っちゃうは好き放題やっていた頃、家族の大事な草履をくわえてどこかへ持って行ってしまったことがあったのだが、残った片方の草履とオヤツを手にもち「チェンジ!」とやったところ、その草履をくわえて戻ってきたことがあった。もちろんチェンジ等という言葉でなんか教えたということもなかったのでびっくりした。



他の甲斐犬について
甲斐犬はめずらしいといわれつつも、散歩でまわる半径2、3キロ圏内では知る限りでもオスメス各数匹いる。そのうちオス2匹はこちらが小犬のころより顔を合わしており、うち1匹は非常に仲が良いが、もう1匹は初顔あわせより吠えられまくりで、小犬の頃は何で吠えてるんだろうという感じできょとんとして吠えられるにまかせていたが、大きくなったらよくも小さい頃に吠えてくれたなとばかりに、その甲斐犬を見つければ吠えるようになってしまった。
メスの甲斐犬については、片方はこちらが小犬の頃より、もう片方はほぼ成犬サイズになってから会う様になったがいずれも仲がよく、会えばとっくみあいして遊ぶ。また仲のいい甲斐犬は雄雌問わず、いずれも私がどうさわっても怒らず、うちの甲斐犬と同じ様に接することができる。
ただ残念なことに非常に怖がられている甲斐犬もいる。家の近所の市民センターそばの広い芝生の公園では有名な話だが、うっかり玄関をでてしまったトイプードルの首に、前を散歩で通りかかった甲斐犬がかみつき離さず血がダラダラ、甲斐犬に噛まれくわえられたままのトイプードルは死んだ様にぐったり、トイプードルの飼い主の老夫婦が甲斐犬の飼い主に離してとお願いするも、あろうことか甲斐犬の飼い主は「かまれるから嫌だ」とそのまま放置、トイプードルの飼い主のおばあさんが自分で甲斐犬の口から必死の思いでくわえられたままのトイプードルを離させ取り返したという事件があった。幸いトイプードルは医師の治療もあって一命を取り留めたのだが、この甲斐犬の飼い主は近所でペットフード販売の店舗を経営、ドッグトレーナーを自称し犬のしつけ教室などもうたっているようだがこの有様。飼い方を間違えると飼い主でさえも「かまれるから嫌だ」と手を付けられない犬になってしまうケースもあるようだ。

まとめ:甲斐犬の飼い方
甲斐犬に対しての長い飼育経験があるわけでもないので、こう育てればこうなるなどということは言いませんが、人がそうである様に犬も育てられる環境や接し方によって様々な性格を持つことと思います。
恐い犬だと思って育てれば恐くもなるでしょうし、優しい犬だと思って育てれば優しい犬になるんじゃないかと考えます。また、なによりも、散歩の途中で会う多くの犬とその飼い主の皆さんが怖がらずに接し遊ばせてくれたことが、うちの甲斐犬が温和に育った大きな理由だと思われます。
ただ、散歩だけは十分に、一緒に走って、登って、ジャンプしてとたくさん遊んで、家に戻ったらおいしいゴハンをお腹いっぱいにしてあげれば、無理なしつけやトレーニングなどせずともいい甲斐犬に育ってくれると思います。

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この3点の写真は3ヶ月くらいの頃でまだ小さい。

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